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見方を変えてみよう! × 久村卓

コラムその2:作りたいものが分からなくなったんだよね

トキトキ:久村さんは、こどものころはどんなことをしてたの?

久村:子供の時はスポーツが好きで、勉強は好きじゃないっていう典型的なタイプかな。ただ美術とか図工の成績は良くて、よく褒められたりした事もあって、「美術」と聞くと、どこか特別な感じがしたよね。

高校2年になる頃には「美大へ行く」って決めたんだ。それから、本当はデザイン科を目指していて、でもあまりにも色が上手く使えなくて、このままじゃマズいって思って受験直前に彫刻科へ移るんだよね。「絵が描けなくて彫刻へ逃げる」と。これが彫刻との出会いというのは絶対に書いちゃダメだよ!

トキトキ:…。美術とか図工の成績が良くても難しいんだね。

久村:何とか美大には入ったけど、あまり優秀な生徒では無かったよね。美大には全国から上手い人が集まるから、小さい頃上手かったとかいうのも全く意味のないものだったよ。でもそれにすぐ気付いて「上手!」みたいなものじゃない方向を目指したのは良かったかもね。

トキトキ:上手!って言われると嬉しいけどなぁ。

久村:そうだよね。でも僕が気付いたのは、「必ずしも上手く作れなくても大丈夫」って事かな。その代わりに「何でそれを作ったの?」っていう考え方の部分が、とても大切になってくるんだよね。大学では、どうやって作ればいいのか、技術や材料なんかについては教えてくれるんだよね。でも、「なぜそれを作るのか」っていうことについてはあまり教えてくれなかったんだ。僕も技術は身についたけれど、それで何を作ったらいいのかわからなくなってきたんだよ。

トキトキ:トキトキも何か作ってみたいけど、何を作ったらいいのか悩むことがあるよ。

久村:そういう思いのまま大学を卒業して、一時期は「もう彫刻やめてもいいか」ってところまでいったよね。でも、その時に偶然出会った彫刻家の先輩が、中途半端な自分を鬼の様に叱ってくれたんだ。「とにかく考えろ」と、「なぜその形作るのか、なぜその素材を選んだのか」、「とにかく全てにおいてよく考えろ」ってね。そんなこと今まで考えなかったことが、自分で恐ろしい話だなぁと思ったし、反省でもあり、それから希望でもあったかな。そういう美術の作っていきかたもあるんだなって思ったんだ。じゃあ「美術って何なんだ?」って事を学び出したのも、この時からだね。

トキトキ:美術って何だろう…。トキトキは美術ってとにかく楽しいものだと思ってたなぁ。

久村:美術を学んでいくと、色々な作品の「何でそれを作ったの?」が少しずつ見えてくるんだよね。そうすると「自分が好きな作品・嫌いな作品」のような好みだけじゃなくて、違った見方で作品が見えるようになってくるんだよね。それを色々と知っていくうちに、次第に何でもないようなものが彫刻にみえてくるというか、彫刻と彫刻でないものの違いに気が付くようになってきたんだ。

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