UBEビエンナーレロゴ

見方を変えてみよう! × 久村卓

コラムその4:美術を教えるっていうこと

トキトキ:久村さんは、美術の先生って聞いたんだけど。どんなふうに教えてるの?

久村:大学で少し授業をしていて、あとはワークショップもしているよ。そうだなぁ、僕はとにかくわかりやすく伝えないといけないっていう使命感があって、美術に詳しい人と、そうじゃない人との段差を埋める“スロープ”みたいになるんだって思いながら教えているかな。あとは、美術は僕にとって「メガネ」だって言ってるんだよね。メガネを掛けるとよく見えないものが見えてくるよね。美術っていうメガネを掛ければ、ボヤっとしていた自分の考えや社会の事や、他人の顔が少し見えるようになるんだよね。美術が無かったら、ボヤっとしていたものを見過ごして生きていたかもしれないね。まあ僕は視力がすごく良くて、メガネをした事が無いんだけどね。

トキトキ:美術は「メガネ」? トキトキの目はとってもいいんだよ!

久村:トキトキの目はとっても大きいもんね。美術作品って、時には難問クイズみたいなところがあってさ、何回見ても分からないんだよね。でも美術ってクイズみたいに正解が一つしか無いものじゃないし、他の人の考えを知る事もアリだし、何より自分でも分かろうとして調べていくと、政治や経済や歴史にまで繋がることだってあるんだよ。

そうやって少しづつ「種明かし」をしていけば、意外と見えなかった部分が見えるようになってくるよね。これが「教育」にも似てて、みんなが色々な視点で種明かしに取り組む事で、複雑に見えていた作品の中身が段々見えてくるんだけど、これが「鑑賞」っていうことなんだよね。

トキトキ:フムフム。トキトキも久村さんの授業に行ってみたいなぁ

久村:ぜひ!でもとりあえず宇部にはたくさん彫刻があるから、それらを「鑑賞」してみる事から始めるといいよ。

ちょっと僕の作品の紹介をすると、2015年のUBEビエンナーレでは、大きな石で壊れたベンチを作ったよ。今も頻繁に起こっているけど「自然災害」に関心があって、何か人間じゃないもののチカラで公園にあるようなベンチが壊れたっていう“状況”を作ったんだよ。

道後温泉の街角には、大きなお風呂の椅子を立て掛けて乾かしている作品を作ったよ。宇部の作品も道後温泉の作品も、置かれている場所や物の大きさ、その状態や状況をちょっと変えている。ベンチと石がただあるだけでは普通の風景なんだけど、それがバサッて壊れてると作品になりうるんだよね。

トキトキ:わー。隕石みたい。

久村:展覧会期間中だけの設置だったから今は宇部に無いけれど、宇部には他にも面白い作品がいっぱいあるから、いろんな見方で作品に向き合ってみたらどうかな。

トキトキ:うん!早速やってみるね。久村さん、今日はどうもありがとうございました!

久村:トキトキも来てくれてありがとう!僕も、そのうち宇部に遊びに行くね。

1 2 3 4